因島水軍城は、広島県尾道市因島にある村上水軍の歴史を伝える貴重な資料館です。村上水軍は、室町時代から戦国時代にかけて瀬戸内海で強大な影響力を持っていた海賊集団であり、因島村上、能島村上、来島村上の「三島村上氏」として知られています。彼らは海上の交通を支配し、瀬戸内海の防衛や交易に関与する一方で、時には海賊行為を行うことで、その名を知らしめました。
因島水軍城は、歴史的に天守や城郭としての機能を持つ建物ではありませんでしたが、村上水軍の栄華を後世に伝えるため、1983年に水軍城をイメージして建設されました。この資料館は、本丸、二の丸、隅櫓から構成され、それぞれが異なる役割を果たしています。
本丸は、村上水軍資料館として、彼らが海外との交易を通じて築いた富や文化を展示しています。展示物には、村上水軍が所有していた武具や、歴史的な資料が含まれています。特に、室町時代末期の鎧や、因島村上家の文書、そして村上吉資が製作した瓦などが見どころです。
二の丸では、村上水軍が用いた戦術を体感できる展示が行われています。ここでは、戦法会議を再現した人形などが展示され、当時の戦略や戦術を垣間見ることができます。
隅櫓は、展望台として機能し、因島の美しい景色を一望することができます。瀬戸内海の穏やかな海と島々の風景は、訪れる人々に深い印象を与えます。また、パネル展示もあり、村上水軍や因島の歴史について学ぶことができます。
因島水軍城が建つ場所は、かつて清原守高の居城であった片苅城の跡地です。この地には、曲輪や石垣、屋敷跡が現存していますが、その詳細は不明な点も多いです。片苅城の家老が住んでいたと伝えられるこの場所は、因島村上氏の菩提寺である金蓮寺の境内に位置しており、歴代の因島村上家の墓が祀られています。
因島水軍城は、因島村上氏の資料を展示し、因島を観光地化するために、1983年に開場しました。この取り組みは、金蓮寺の住職の尽力によるものです。旧因島市は、1989年から村上水軍をテーマに観光業の強化を図り、因島水軍城は「日本唯一の水軍城」として広く紹介されています。
因島水軍城のふもとには、尾道市因島史料館があります。ここでは、村上水軍以外の因島の産業や歴史、民俗資料が展示されています。主な展示品には、ナウマン象の骨の化石や大浜遺跡から出土した品々、弁才船資料、機帆船資料などがあります。これらの展示物は、因島の豊かな歴史と文化を物語っています。
村上水軍は、日本中世の瀬戸内海において、重要な役割を果たした海軍集団です。彼らの活動範囲は、芸予諸島を中心に、中国地方と四国地方の間の海域に広がり、能島村上家、因島村上家、来島村上家の三家がそれぞれの拠点を持ちました。村上水軍は、輸送や航行船の保護、安全保障の代わりに通行料を徴収するなど、海上交通の要となる活動を行っていました。
2016年4月25日、村上水軍が活動した地域は、「“日本最大の海賊”の本拠地:芸予諸島-よみがえる村上海賊“Murakami KAIZOKU”の記憶-」として、日本遺産に認定されました。この地域には、今治市本土や尾道市本土、芸予諸島などに点在する42項目の遺産が含まれています。これらの遺産は、村上水軍の歴史とその影響力を今に伝える重要な文化財です。
9:30~17:00
1月2日~3日 10:00~15:00
木曜(祝日を除く)
12月29日~翌年1月1日
大人 330円
小人 160円(小・中学生)
因島北ICから車で5分
因島南ICから車で10分