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美酒鍋

(びしゅなべ)

杜氏考案!利き酒に影響ないよう作られた賄い料理

砂糖や醤油などを用いず、塩と胡椒、日本酒で味付けする鍋。具材には豚肉、鶏肉、ハクサイ、ネギなどが入る。銘醸地として歴史がある東広島市西条の郷土料理。

美酒鍋は、鶏肉、砂ずり、豚肉、野菜をシンプルな塩、こしょう、日本酒で味付けした鍋料理です。あっさりとしていて、素材本来の味を楽しむことができるのが特徴です。これは、東広島市西条の杜氏が、酒造りの合間の空腹を満たすために考案したまかない料理で、シンプルな味付けは利き酒に影響が出ないように工夫されています。アルコール分が加熱で抜けるため、お酒が苦手な人や幅広い年代の人が楽しむことができます。

名前の由来は、水仕事が多く仕事着が濡れることが多かった蔵人(酒蔵で働く人)を「びしょ」と呼び、その蔵人たちが食べることから「びしょ鍋」と呼ばれるようになったと言われています。最近では「美酒」の字も加わり、西条は酒都としての名声を高めています。

西条は伝承地域で、「兵庫の灘」「京都の伏見」と並び称される銘醸地で、明治から大正にかけて全国酒品評会で上位を独占するなど高品質な酒が生まれています。昭和初めには俳人・河東碧梧桐が「酒の新都」と称賛しました。

美酒鍋はもともと酒造りの冬の期間にまかない料理として食べられていましたが、現在では東広島市の名物料理として、時季を問わず楽しむことができます。毎年10月に開催される「酒まつり」でも振る舞われ、各蔵元や店舗が工夫した美酒鍋が味わえます。

美酒鍋の飲食方法は、鍋に油を引いてにんにくを炒め、鶏肉、砂ずり、豚肉、白菜、ねぎなどを火の通りにくいものから順に入れ、酒を少しずつ加え、塩こしょうで味を整えて食べるというものです。野菜は煮すぎないように注意し、一度に全部作るのではなく、鍋の中身を全部食べた後にもう一度最初から作り直すのがポイントです。こんにゃくや厚揚げを加えることもあり、野菜は季節に合わせて選んでください。

主な伝承地域:安芸地域の東広島市

主な使用食材:鶏肉、砂ずり、豚肉、白菜、ねぎ、にら、塩、こしょう、日本酒、にんにく

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名称
美酒鍋
(びしゅなべ)

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