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竹原

(たけはら)

竹原は広島県南中部に位置し、瀬戸内海に面する歴史ある町です。江戸時代中期から明治にかけて発展した商家町の姿が今も残り、竹原は「安芸の小京都」と呼ばれています。特に、竹原の町並み保存地区は、国の重要伝統的建造物群保存地区として選定され、江戸時代の風情を今に伝える町並みが観光客に人気です。

竹原の歴史的背景

竹原の歴史は古代から始まります。飛鳥時代には、山陽道が整備され、竹原の中心には都宇駅が置かれていました。また、賀茂御祖神社(下鴨神社)の荘園として発展し、港を控えた市場集落が形成されました。戦国時代には港湾機能が失われ、江戸時代には製塩町として再興しました。この時期に竹原は急速に発展し、塩の生産地として全国的に有名になりました。

近世の発展と港町

江戸時代初期、竹原は港町として発展し、塩田が開発されることでさらなる繁栄を迎えます。塩田の開発に成功すると、竹原は塩の生産とともに海運業も栄え、商家や酒造業が発展しました。廻船によって竹原で作られた塩やその他の産物は全国へと出荷され、米の輸送も盛んに行われました。この時期には、町並みの整備が進み、現在の町並み保存地区の基礎が築かれました。

竹原の町並み保存地区

竹原の町並み保存地区は、江戸時代から明治にかけての伝統的な建築が数多く残るエリアで、複数の町筋や寺院、辻堂などが一帯となって歴史的な風景を形成しています。竹原の町並みは、南北に縦断する本通りを中心に大小路、板屋小路、中ノ小路などの路地によって構成されており、当時の町の様子を今でも感じることができます。

伝統的な商家建築

町並みの大半を占める商家建築は、江戸時代中期から明治時代にかけて建てられたものが多く、特に元禄4年(1691年)に建造された吉井邸は最も古い建物の一つです。これらの建物は、1階に材木を組み合わせた出格子や平格子が用いられ、2階部分には漆喰を施した塗り込め格子が特徴的です。多くの家屋が大規模な邸宅であり、奥座敷や茶室を備えているのも特徴です。

観光名所の紹介

竹原には多くの歴史的な建造物や名所が点在しています。その中でも特に注目すべきものをいくつかご紹介します。

春風館頼家住宅

春風館頼家住宅は国の重要文化財に指定されており、大小路に面する儒医頼春風(頼山陽の叔父)の邸宅です。高い土塀や長屋門など、武家建築風の外観を備えた建物で、内部には裏座敷や納戸蔵、米蔵などがあり、安政2年(1855年)に建てられました。この建物は、当時の豪商の暮らしぶりを今に伝える貴重な文化財です。

復古館頼家住宅

復古館頼家住宅も国の重要文化財に指定されており、春風館の隣にあります。頼春風の孫である頼三郎が独立して建てた邸宅で、数奇屋造の座敷を持つのが特徴です。安政6年(1859年)に建てられたこの建物は、竹原の町並みに美しいアクセントを加えています。

西方寺

竹原の町並み保存地区には、多くの寺院も点在しています。その中でも西方寺は、石段からの眺望が素晴らしく、町の全景を見渡すことができます。竹原の歴史を感じながら、風情ある風景を楽しむことができるスポットとして人気です。

竹原の町並み保存地区の魅力

竹原の町並み保存地区は、その統一感ある美しい景観が魅力です。町の中心を貫く本通りは、江戸時代から続く商家建築が立ち並び、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。また、町並みの中には、茶室や商家の見学ができる場所も多くあり、竹原の歴史や文化に触れることができます。

伝統的な文化と現代の融合

竹原では、江戸時代の町並みがそのまま残されているだけでなく、現代の建築も上手に調和しています。モダンな建物が点在している一方で、全体として町並みの風景を損なわないような設計がされています。このような点も、竹原の観光の魅力の一つと言えるでしょう。

竹原の特産品と観光グルメ

竹原を訪れた際に楽しみたいのが、地元の特産品や観光グルメです。特に、竹原は酒造業が盛んな地域として知られており、地元の酒蔵で作られた日本酒はぜひ味わっていただきたい逸品です。

竹原の酒造りの歴史

竹原の酒造りは江戸時代から始まり、特に明治以降に発展を遂げました。広島県内でも有数の酒造地となり、品質の高い酒を生産しています。酒造見学を行っている蔵元も多く、竹原を訪れた際には地元の日本酒を楽しむことができる体験もおすすめです。

その他の特産品

竹原では、地元の特産品として、瀬戸内海で採れた新鮮な海産物や、竹原独自の製品も多くあります。地域に根付いた伝統工芸品や食品は、お土産としても人気があります。

竹原の観光体験

竹原を訪れた際には、歴史ある町並みを歩きながら、江戸時代から続く商家の風景を楽しむことができます。また、地元の観光案内所では、観光マップやガイドツアーの情報も提供されていますので、観光の際にはぜひ活用してください。

町並み散策

竹原の町並み保存地区は、徒歩でゆっくりと散策するのに最適な場所です。商家建築や神社仏閣を巡りながら、町の歴史を感じることができるでしょう。写真撮影にも絶好のスポットが多く、思い出に残る風景が広がっています。

竹原観光のベストシーズン

竹原は四季折々の美しさを楽しめる場所です。特に春には桜が咲き誇り、秋には紅葉が美しい風景を作り出します。また、夏には瀬戸内海の海風を感じながら、のんびりと散策 を楽しむことができ、冬には静かな町並みがまた別の魅力を放ちます。

国指定重要文化財

春風館頼家住宅

春風館は、江戸時代の儒医・頼春風(頼山陽の叔父)の邸宅で、国の重要文化財に指定されています。竹原市の大小路に面し、武家風の外観を持つこの住宅は、通りに沿った高い土塀や長屋門が特徴です。主屋は安政2年(1855年)に建てられ、裏座敷、納戸蔵、米蔵などがあり、当時の商家の生活をしのばせます。

復古館頼家住宅

春風館の隣に位置する復古館は、春風の孫である頼三郎が分家独立した際の邸宅です。こちらも国の重要文化財に指定されています。数奇屋造りの座敷を持ち、春風館とは対照的に表屋造りの特徴があります。主屋は安政6年(1859年)に建てられ、精巧な造りが魅力です。

照蓮寺の銅鐘

照蓮寺にある銅鐘は、峻豊4年(963年)に作られたもので、日本に現存する最古の高麗鐘の一つとして知られています。この鐘は、戦国大名の小早川隆景が朝鮮出兵の際に持ち帰ったと伝えられており、その歴史的背景からも貴重な文化財です。

国登録有形文化財

旧日の丸写真館

昭和7年に建てられたこの建物は、木造3階建ての昭和初期のモダンなデザインが特徴です。地区の南西端に位置し、戦後の昭和20年頃に改修されました。昭和の時代背景を感じさせるこの建物は、写真文化の発展を物語る貴重な場所です。

県指定史跡

頼惟清旧宅

頼惟清は、頼山陽の祖父であり、紺屋(染色業)を営んでいました。この旧宅は職住兼用の民家で、県指定史跡となっています。古い形式の家屋で、家事用や書道用、紺屋用の井戸が残っており、歴史的な職業生活をうかがい知ることができます。

唐崎常陸介之墓

礒宮八幡神社の第5代神主であった唐崎常陸介信徳の墓が、長生寺の境内にあります。尊王論者であった彼は、60歳の時にこの地で切腹し、その墓が県の史跡に指定されています。

礒宮八幡神社忠孝岩

唐崎常陸介が文天祥の筆跡による「忠孝」の字を刻んだ岩が、礒宮八幡神社境内にあります。この忠孝岩は、県の史跡に指定されており、神社は映画『潔く柔く』のロケ地としても知られています。

市指定文化財

西方寺普明閣

西方寺の観音堂は、町並みの東側山手に建ち、舞台造りの建築様式が京都の清水寺に似ているといわれています。この建物は竹原市の市指定文化財であり、観音堂からは竹原の町並みを一望することができます。

松坂邸

松坂邸は、本通りに面する豪邸で、文政年間に建てられ、明治12年(1879年)に改築されました。製塩業や問屋業を営んでいた浜旦那の邸宅で、唐破風の屋根や菱格子の窓が特徴的です。現在は一般公開されており、内部の見学も可能です。

森川邸

森川家は、製塩や酒造などを営んでいた商家で、その邸宅も市指定文化財に指定されています。主屋は明治初期に建てられ、茶室は19世紀中期の建築です。かつて塩田が広がっていた場所に立地し、竹原の歴史的背景を物語る貴重な建造物です。

その他の名所

恵比寿堂

本通りの北端に位置する恵比寿堂は、18世紀末に建てられたもので、町の景観にアクセントを加えています。映画『時をかける少女』のロケ地にもなっており、映画ファンにも人気のスポットです。

お抱え地蔵

本町通りから石段を少し登ったところにある「お抱え地蔵」は、願い事をしながら抱えると、軽く感じれば願いが叶うと言われている不思議な地蔵です。地元の人々だけでなく、観光客にも親しまれています。

岩本邸

松坂邸の北隣にある岩本邸は、元々松坂家の離れ屋敷として使われていましたが、明治時代に再建されました。2階には中国風の高楼があり、独特の雰囲気を醸し出しています。

吉井邸

本通りに面する吉井邸は、元禄4年(1691年)に建てられたこの地区最古の建物です。製塩業や酒造業を営んでいた町年寄りの家系であり、広島藩の本陣としても使用されました。

竹鶴酒造

江戸中期から続く造り酒屋である竹鶴酒造は、ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝の生家としても有名です。妻入り屋根が連続する外観が特徴で、内部は資料館として公開され、小笹屋酒の資料を見ることができます。

光本邸 今井政之陶芸の館

光本邸は、元々復古館の離れとして建てられましたが、後に光本家が定住しました。現在は竹原市に寄贈され、陶芸家・今井政之とその息子たちの作品が展示されています。

竹原市歴史民俗資料館

竹原市歴史民俗資料館は、旧市立竹原書院図書館を改装し、昭和55年(1980年)に開館しました。竹原の歴史や民俗文化を学ぶことができる貴重な資料が展示されています。

頼山陽広場

頼山陽広場は、竹原市内にはなく、南西端の本川沿いにあります。広場には、昭和55年(1980年)に頼山陽生誕200周年を記念して建立された銅像が建っています。

道の駅たけはら

竹原市の東部にある道の駅たけはらは、観光客に人気のスポットです。竹原の特産品である塩や酒を販売しているほか、レストランや観光案内所も併設され、ドライブの休憩に最適な場所です。

Information

名称
竹原
(たけはら)

竹原・三原

広島県