広島県 » 竹原・三原

竹鶴酒造

(たけつる しゅぞう)

竹鶴酒造株式会社について

竹鶴酒造株式会社(たけつるしゅぞう)は、広島県竹原市本町三丁目に本社を構える伝統的な酒造メーカーです。その歴史は江戸時代の中期まで遡り、豊かな風土と職人の技術によって、多くの銘柄を生み出しています。特に「小笹屋竹鶴」という名前で知られ、純米酒を中心に品質の高い酒造りを続けています。

沿革

竹鶴酒造の歴史は、1660年代の江戸中期(万治年間)に始まりました。当初は「小笹屋(おざさや)」の屋号で塩の製造を行っており、冬季には余剰の労働力を活用して酒造りを始めました。そして1733年(享保18年)、酒造業に本格的に参入します。

竹藪に鶴が営巣したことを「古来松に鶴と聞くも、竹に鶴は瑞兆なり」と喜び、「小笹屋竹鶴」と名付けたのが現在の社名の由来です。その後、竹鶴の名は銘柄や姓として定着しました。

1970年(昭和45年)には純米酒「秘傳竹鶴」を発売し、1988年から1991年までの4年間、全国新酒鑑評会で金賞を連続受賞するなど、その評価を高めていきます。さらに、ニッカウヰスキー創業者である竹鶴政孝の生家としても知られ、2014年にはNHK連続テレビ小説『マッサン』のロケ地としても注目されました。

竹鶴酒造の歴史

塩作りから酒造りへ

竹原市の酒造りの歴史は、江戸時代初期まで遡ります。当時は広島藩による規制があり、発展を阻んでいましたが、明治維新後の規制撤廃により、竹鶴酒造を含む地元の酒造家たちは酒造業を本格化させました。竹原市の酒造家たちは、品質向上を目指して広島県初の酒造組合を結成し、その後も技術革新を続けていきました。

竹鶴酒造の当時の経営者もこの酒造組合に深く関与し、先進的な技術を導入するだけでなく、独自の工夫も加え、竹原は「灘以西第一の酒郷」と称されるまでに発展しました。現在でも、竹鶴酒造はその伝統を受け継ぎ、新たな挑戦を続けています。

竹原の酒造家の誇り

竹原の酒造家たちは、製塩業との兼業が多く、その経験から品質の重要性を強く認識していました。彼らは競争を通じて得た品質への意識を共有し、迅速に酒造組合を結成しました。これにより、竹原は他の産地に追いつき、さらにはその技術を超えるまでになったのです。残念ながら竹原の製塩業は衰退しましたが、その精神は今でも竹鶴酒造の酒造りに息づいています。

銘柄の紹介

竹鶴酒造では以下の銘柄を取り扱っています:

風土と酒造り

瀬戸内海の恩恵

竹鶴酒造が位置する竹原市は、瀬戸内海に面した地域で、豊かな自然と厳しい干満差に特徴があります。潮流が早く、魚介類は身が引き締まっており、深い味わいを持っています。このような環境下で育まれた海の幸を引き立てるためには「うま味」が重要です。竹鶴酒造は、食の持つ味わいを最大限に引き出すために、うま味豊かな日本酒を醸しています。

竹鶴の水

竹鶴酒造では、酒蔵の一角から地下126メートルの深さから汲み上げた清浄な水を使用しています。この水は塩化物イオンが多く含まれており、日本酒に豊かな「うま味」を与える重要な要素となっています。また、この水にはナトリウムイオンも含まれており、かつて竹鶴酒造の前が海であったことから、地下を通ってきた海水由来の水と考えられます。

伝統的な製法

生酛造り

「生酛造り」は、江戸時代に兵庫県・灘で確立された日本酒の製法です。この製法を用いることで、深みのある味わいが生まれ、幅広い料理に合う酒を醸すことができます。竹鶴酒造は、平成16年(2004年)にこの製法を広島県で初めて復活させました。また、酵母菌無添加の手法を採用し、自然な発酵過程を重視しています。

木桶仕込み

竹鶴酒造では、平成21年(2009年)から「小笹屋竹鶴」シリーズで昔ながらの木桶を用いた酒造りを行っています。木桶を使用することで、微生物が活発に働き、重層的で複雑な味わいが生まれます。この豊かな味わいは、食中酒として料理の美味しさを引き立てる重要な要素です。

竹鶴のこだわり

純米酒へのこだわり

竹鶴酒造は、平成28年(2016年)から全ての商品を醸造アルコールを添加しない「純米酒」としました。醸造アルコールを加えると、せっかく醸し出した「うま味」が薄れると考え、広島県では戦後初めてとなるこの決断をしました。純米酒は、日本酒本来の味わいを大切にし、竹鶴らしさを表現するための重要な要素です。

麹造りのこだわり

竹鶴酒造では、麹菌を一般的な量よりも多く使用し、しっかりと育てることで、豊かな「うま味」「きれ味」「酸味」が揃った日本酒を造り上げます。丁寧な麹造りが、竹鶴の酒の特徴を支えています。

Information

名称
竹鶴酒造
(たけつる しゅぞう)

竹原・三原

広島県