入船山公園は、広島県呉市に位置する都市公園であり、地区公園の一つです。日本の「歴史公園100選」にも選ばれており、その魅力を多くの人々に提供しています。この公園は、呉市内の休山麓に広がり、北側の文化ゾーンと南側の市民広場から成り立っています。
入船山公園の場所は、長い歴史を持つ場所で、703年（大宝3年）にはすでに亀山神社が鎮座していました。近代に入ると、1889年（明治22年）には呉鎮守府司令長官の官舎が建てられ、1956年（昭和31年）までイギリス連邦占領軍の司令官庁舎としても使用されていました。その後、公園として整備され、現在に至ります。
公園の北側には「入船山記念館」や「呉市立美術館」があり、自然林を生かした落ち着いた雰囲気の文化ゾーンとなっています。入船山記念館では、旧呉鎮守府司令長官官舎が展示施設として使用されており、ここでは呉市の歴史や旧海軍に関する貴重な資料を見ることができます。この旧官舎は明治期に建てられた洋風建築で、国の重要文化財にも指定されています。
また、呉市立美術館では、ブールデルやルノワールといった有名な芸術家の作品や、地元のアーティストによる作品が展示されています。美術館の周囲には枯山水の庭園が広がっており、その景観も訪れる人々の心を癒します。
美術館へ続く坂道は「美術館通り」と呼ばれ、日本の道100選に選ばれています。この通り沿いには17点の彫刻やオブジェが点在しており、散策するだけでも芸術の雰囲気を味わうことができます。また、正岡子規の句碑もあり、日本文学に触れながらの散策も楽しめます。
入船山記念館は、1967年に開館し、敷地面積は約1.2万平方メートルにおよびます。旧呉鎮守府司令長官官舎を中心に、呉市の歴史や旧海軍に関する資料が展示されています。特に、明治期に建てられたこの洋風建築は、現存する海軍高級将校庁舎の中でも珍しいもので、国の重要文化財に指定されています。
この場所は、1889年（明治22年）に大日本帝国海軍によって洋風木造2階建ての軍政会議所兼水交社が建てられた歴史的な場所です。呉鎮守府の開庁式には明治天皇もこの建物を訪れ、その後司令長官官舎として使用されました。戦後は、1956年（昭和31年）までイギリス連邦占領軍の司令官官舎として使用され、その後、1967年に入船山記念館として一般公開が開始されました。
記念館内では、大日本帝国海軍に関連する資料や、金唐革紙といった呉市の伝統工芸品も展示されています。また、正岡子規の句碑が建てられた休憩所もあり、美術館へと続く道も美しい散策路として整備されています。
2015年からは指定管理者制度が導入され、「入船山記念館運営グループ」によって管理されています。また、記念館は約700メートル離れた位置にある呉市海事歴史科学館（大和ミュージアム）と連携した観光展開を行っています。このような観光資源の連携により、呉市の歴史や文化を訪れる人々に深く理解してもらうことができます。
呉市立美術館は、呉市制施行80周年を記念して、1982年（昭和57年）に開館しました。この美術館は、ブールデルやルノワールといった世界的な芸術家の作品のほか、地元の芸術家による作品も展示しています。また、枯山水の庭園や本瓦寄棟造の建物など、景観にもこだわりが見られます。
美術館へと続く「美術館通り」は1987年に一般公募でその名称が決定されました。この通りは約200メートルの緩やかな坂道で、呉市の歴史的建造物と芸術が調和した美しい景観が特徴です。1987年には「日本の道100選」に選ばれ、さらに「手づくり郷土賞」も受賞しています。散策中には、彫刻やオブジェに触れながら、芸術を楽しむことができます。
入船山公園の南側には「市民広場」と呼ばれる多目的広場が広がっています。この広場は元々旧海軍の第一練兵場として使用されていましたが、戦後はイギリス連邦占領軍の式典などに利用され、「ANZAC PARK（アンザックパーク）」と呼ばれるようになりました。現在では、市民の憩いの場として多くのイベントが開催される場所となっています。
入船山公園へのアクセスは非常に便利で、JR呉線「呉駅」から徒歩15分ほどで到着します。また、バスを利用する場合は、「入船山公園」バス停や「教育隊前」バス停、「眼鏡橋」バス停から徒歩3分程度で到着します。
車を利用する場合、広島呉道路の呉インターチェンジから約5分で到着します。広々とした駐車場も完備されているため、車での訪問も快適です。