鳳源寺は、広島県三次市にある臨済宗妙心寺派の寺で、本尊は薬師如来です。1633年(寛永10年)に三次藩初代藩主である浅野長治によって建立された、浅野家の菩提寺として知られています。境内には歴史的な遺産や美しい庭園があり、訪れる人々に歴史と自然の調和を感じさせます。
鳳源寺の本堂の正面に掲げられている山額は、浅野長治自身の自筆であると伝えられています。これは、寺の歴史と浅野家の深い関わりを象徴するものであり、訪れる際にはその優雅な筆跡にも注目すべき点です。
鳳源寺の見どころの一つは、大石内蔵助良雄が手植えしたと伝えられる「枝垂れ桜」です。この桜は、浅野長治の娘である阿久利姫(のちの瑤泉院)が赤穂藩主・浅野長矩に輿入れする際に、大石良雄が訪れた際に手植えしたものです。春には美しい桜の花が咲き誇り、訪れる人々に感動を与えます。
鳳源寺には、赤穂浪士たちの出立の姿を模した木像と、浅野一族の座像が安置されている「義士堂」があります。この義士堂は1946年に全焼しましたが、1981年に三次ライオンズクラブを中心とした有志によって再建されました。ここには、赤穂義士の精神が今も息づいています。
浅野長矩の夫人であった阿久利姫(瑤泉院)は、夫が切腹した後に落飾し、1714年に46歳で亡くなりました。その遺髪が三次に持ち帰られ、遺髪の塔に安置されています。これは、歴史的にも重要な文化財として、多くの人々に敬われています。
鳳源寺には、亀に乗った亀甲仕様の神道碑「浅野長晟公賛徳碑」があります。この碑は浅野家の歴史と信仰を象徴するものであり、参拝者に強い印象を与えます。
1999年に建立された瑤泉院の像は、義士堂に向かって手を合わせています。この像については、義士堂内にも瑤泉院の木像があるため、自分自身に手を合わせているのはおかしいといった批判もありますが、今も多くの参拝者に愛されています。
鳳源寺の境内には、三次藩初代藩主である浅野長治公の像もあります。この像は1999年に建立され、鳳源寺の歴史を物語る一部となっています。
愚極泉は、鳳源寺の裏庭に位置する美しい庭園です。4代目の住職である愚極和尚が築庭したもので、比熊山を借景とした雅趣に富んだ景観を楽しむことができます。静寂の中で自然と歴史の調和を感じられる場所です。
菩薩泉は、寺庫裡の裏に位置する井戸で、開山当時の修行僧によって掘られたものです。古くからこの地域の人々に利用されてきた歴史ある井戸で、今もその清らかな水が湧き出ています。
鳳源寺の境内には、浅野稲荷神社もあり、屋根葺き替え工事で取り換えられた以前の鬼瓦が安置されています。この鬼瓦には浅野家の家紋である違い鷹羽が刻まれており、歴史的な価値が高いものです。
毎年12月の第2日曜日には「三次義士祭」が開催されます。この祭りは、焼失した義士堂と赤穂浪士の木像を修復・再建したことをきっかけに、1985年から始まりました。義士祭では、義士に扮した有志が義士堂の前で法要を行い、義士行列が市内を行進するなど、盛大なイベントが繰り広げられます。現在、この祭りは「三次きんさい祭り」と共に休止されていますが、地元の人々にとっては特別な意味を持つ行事です。
鳳源寺は、9:00~17:00まで開放されており、年中無休で訪れることができます。歴史的な名所や文化財をゆっくりと見学することができるため、歴史好きの方や自然を楽しみたい方におすすめです。
境内は無料で開放されており、気軽に訪れることができます。
中国自動車道三次インターチェンジから約15分、またはJR三次駅からバスで約10分の距離にあります。アクセスが便利で、観光の際にはぜひ立ち寄ってみてください。
鳳源寺の周辺には、尾関山公園や比熊山城、太歳神社、吉祥院などの観光スポットもあります。これらの場所も訪れることで、さらに広島の歴史と文化を深く理解することができるでしょう。