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奥田元宋・小由女美術館

(おくだ げんそう さゆめ びじゅつかん)

奥田元宋・小由女美術館は、広島県三次市の市街地に近い南東部に位置する美術館です。2006年4月15日に開館し、日本画家・奥田元宋と人形作家・奥田小由女夫妻の作品を中心に、広く芸術作品を紹介する場として親しまれています。

概要

美術館では、奥田元宋の日本画作品約100点と、奥田小由女の人形作品約60点を所蔵しており、これらの作品が常設展示されています。夫妻の業績を称えるだけでなく、国内外の優れた美術作品や文化を紹介する特別企画展も定期的に開催されています。さらに、市民参加型の美術館として、市内の学生やボランティアの協力を得て、美術館運営に積極的に取り組んでいます。

美術館設立の経緯

奥田元宋と奥田小由女夫妻は、長年「ふたりの美術館」を設立する夢を持ち、作品が散逸しないよう大切に保管していました。その後、広島県三次市がその申し出を受け、夫妻の作品の多くが寄贈され、美術館の設立が実現しました。特に、奥田元宋は月をモチーフにした作品が多く、美術館の設計にも「月」が取り入れられています。建物の間にある池には夜の月が映え、その光景がロビーから楽しめるように設計されています。このため、「日本一月が美しい美術館」としても知られています。

建築のコンセプト

美術館の設計は、自然との調和を基本とした芸術空間の構築を理念としています。建築家柳澤孝彦氏の設計によるこの美術館は、芸術と自然が共鳴し、人々に豊かな感動を提供する場所として建てられました。奥田元宋作品の重要なモチーフである「月」を美しく見せるロビーの設計や、彼の代表作に見られる「元宋の赤」を彷彿させるシンボルツリー「いろはもみじ」など、美術館そのものも一つの芸術作品と言えます。

常設展示と企画展

常設展示には、奥田元宋の作品が計18点、児玉希望の作品が3点、三上巴峡の作品が4点、奥田小由女の作品が17点、そして夫妻共作の1点が展示されています。また、美術館では、地元ゆかりの芸術家や、国内外の優れた美術作品を紹介する企画展も定期的に開催されています。これまでにヘレン・シャルフベック展など、約70回の企画展が行われており、毎回多くの来館者が訪れています。

アクセスと施設案内

美術館へのアクセスは、中国縦貫自動車道三次ICから車で約5分、または三次駅前から「三次工業団地(美術館経由)」行きのバスで「奥田元宋・小由女美術館前」で下車することができます。駐車場は無料で、乗用車240台分とバス10台分のスペースが用意されています。

観覧料と開館時間

観覧料: 大人は800円、大学生は400円、高校生以下は無料です。団体割引も適用されるため、詳細はお問い合わせください。

開館時間: 9:30~17:00までで、毎月第2水曜日と年末年始は休館日となっています。

奥田元宋について

奥田元宋(おくだ げんそう、1912年6月7日 - 2003年2月15日)は、日本画の巨匠として知られ、文化勲章を受章した日本芸術院会員です。「元宋の赤」と称される独特の赤色が特徴で、幽玄な山水画や静かで神秘的な水墨画の世界で評価されています。彼は日本の伝統的な風景美を新たな色彩美で表現し、「新朦朧派」として独自のスタイルを確立しました。

元宋の業績

1936年に「三人の女性」で初めて文展に入選し、1949年には「待月」で特選を受賞しました。また、1962年には「磐梯」で文部大臣賞を受賞し、その後、数々の展覧会で功績を残しました。さらに、1973年には日本芸術院会員に推挙され、1984年には文化勲章を受章しました。

奥田小由女について

奥田小由女(おくだ さゆめ、旧姓: 川井、1936年11月26日生まれ)は、日本の人形作家であり、文化勲章を受章しています。大阪府堺市に生まれ、幼少期に広島県三次市に移住。人形作家として数々の展覧会で評価を受け、日展などで活躍しました。彼女の作品は、母子の情愛や自然との共生をテーマに、華やかでありながら安らぎに満ちた作風が特徴です。

夫妻の功績

元宋と小由女の夫妻は、生涯を通じて芸術の発展に寄与し、その業績が三次市の美術館を通じて広く顕彰されています。夫妻揃って文化勲章を受章したことは、芸術界でも稀なことです。

まとめ

奥田元宋・小由女美術館は、夫妻の作品を通じて日本画や人形芸術の魅力を広く伝えると同時に、自然と芸術の共鳴を感じることができる特別な場所です。美術館の建物自体が芸術的な空間を提供しており、訪れる人々に深い感動を与え続けています。

Information

名称
奥田元宋・小由女美術館
(おくだ げんそう さゆめ びじゅつかん)

三次・世羅・庄原

広島県