仙酔島は、広島県福山市の鞆の浦に位置する美しい島です。周囲約6kmのこの島は、1934年(昭和9年)に全国で初めて指定された国立公園である「瀬戸内海国立公園」の一部として認定されています。また、国名勝「鞆公園」の一部にも含まれており、その自然の美しさと歴史的価値から、多くの観光客が訪れる場所となっています。
仙酔島は無定住島でありながら、ホテル関係者などが通勤することもあるため、無人島と分類されるものの実際には人の行き来がある場所です。別名「亀の島」とも呼ばれ、古代から潮待ちの港として栄えた鞆の浦において、隣接する弁天島とともに象徴的な存在となっています。島内にはホテルやキャンプ施設があり、福山市営渡船を利用することで簡単にアクセスできます。
仙酔島は、約9000万年前の大規模な火山活動によって主に溶結凝灰岩で形成されており、地質的に非常に希少な存在です。自然がそのままの姿で残されており、訪れる人々に古代の神秘と自然の力強さを感じさせてくれます。特に、「五色岩」と呼ばれる青、赤、黄、白、黒の五色の岩が南側の海岸線沿いに約200メートル以上にわたって続いている景観は、全国でも非常に珍しく、貴重な自然遺産です。
仙酔島の対岸に位置する福禅寺対潮楼は、江戸時代を通じて朝鮮通信使の迎賓館として利用されていました。1711年に対潮楼を訪れた朝鮮の従事官、李邦彦は、仙酔島や弁天島の景色に感銘を受け、「日東第一形勝」(朝鮮より東で一番美しい景勝地)と賞賛しました。このように、仙酔島は古くから美しい風景とともに多くの人々に愛され、称賛されてきました。
仙酔島という名前は「仙人も酔ってしまうほど美しい島」という意味を持ち、まさにその名の通り、訪れる人々を魅了してやみません。江戸時代の学者・頼山陽が文化11年(1814年)に鞆の浦を訪れ、仙酔島を望む建物を「対仙酔楼」と名付け、「ここは『山紫水明』の地である」と記したことから、「山紫水明」という言葉の由来の一説ともなっています。
仙酔島は観光スポットとしても人気で、島内には温泉施設や国民宿舎、キャンプ場、海水浴場など多くのレジャースポットが点在しています。特に「江戸風呂(江戸風呂湯遊)」と呼ばれる施設では、洞窟の蒸し風呂でデトックスを体験できるなど、癒しの時間を過ごすことができます。ここでの体験は「人生感が変わる宿 ここから」が提案する究極のお湯処巡り観光コースの一部としても知られています。
また、島内では塩づくりの体験イベントも行われており、「日本の塩100選」に選ばれた塩工房で、塩づくりの過程を学ぶことができます。こうした体験型の観光も、仙酔島の魅力の一つです。
仙酔島は、明治時代以降の天皇・皇后・皇族らが何度も訪れている場所でもあります。明治天皇、大正天皇、昭和天皇、明仁上皇、そして今上天皇までもがこの地を訪れ、その美しい景観に魅了されたと言われています。また、1934年には日本初の国立公園である「瀬戸内海国立公園」の一部として指定され、1939年には郵便切手のデザインにもなりました。
仙酔島へのアクセスは、まず鞆鉄バスを利用して福山駅から鞆の浦まで移動し、そこから渡船「平成いろは丸」に乗り換えて約5分で到着します。鞆の浦からの船旅は短い時間ですが、その間に見ることができる瀬戸内海の景色はまさに絶景です。仙酔島は福山市の観光拠点としても人気があり、年間を通じて多くの観光客で賑わいます。
仙酔島には、さまざまな宿泊施設やレジャー施設が揃っています。特に、「人生感が変わる宿 ここから」は、隠れ家のような雰囲気で、リゾート気分を楽しむのに最適です。また、国民宿舎やキャンプ場、海水浴場も整備されており、家族連れやグループでの利用におすすめです。さらに、島内の食事処では、名物の鯛飯や瀬戸内海の海の幸を使った料理を楽しむことができ、旬の食材を使った季節限定のメニューも提供されています。
鞆の浦にも、仙酔島を望むホテルや旅館が数多くあります。「絆が深まる宿 鞆シーサイドホテル」は、鞆の浦温泉や天空露天風呂が人気で、家族や友人との親睦を深めるのに最適な場所です。また、「ホテル鴎風亭」や温泉宿「景勝館 漣亭」、江戸時代からの歴史を今に伝える高級旅館「汀邸 遠音近音」など、どの施設からも仙酔島の美しい景色を楽しむことができます。これらの宿泊施設は、尾道や福山といった他の観光スポットへのアクセスも便利で、広島を訪れる際の拠点としても最適です。
仙酔島の魅力は景観だけではありません。季節ごとに様々なイベントが開催されるほか、登山道も整備されており、大弥山の山頂からは鞆の浦や瀬戸内海の美しい風景を一望することができます。また、島内ではバーベキューやキャンプを楽しむことができるほか、クルージングや釣りを楽しむ豪華なツアーも催されています。こうしたアクティビティを通じて、仙酔島の自然の魅力を存分に楽しむことができます。
島内の電気は電柱架空方式で供給されており、ガスはプロパンガスが使用されています。宿泊施設などへの上水道の供給は鞆の浦からの海底配水管を通じて行われています。交通手段としては、福山市営渡船が鞆町鞆(鞆の浦)から仙酔島への航路を運航しており、所要時間は約5分です。
現在、仙酔島には以下のような施設があります。これらは全て 「仙酔島観光開発」が運営する施設で、宿泊施設、イベント会場、温浴施設、レストランなどが揃っており、観光客にさまざまな体験を提供しています。