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江波山公園

(えばやま こうえん)

江波山公園は、広島県広島市中区江波南および江波二本松に位置する江波山を中心とした都市公園(近隣公園)です。

概要

かつてこの地域は江波島(えばじま)と呼ばれる広島湾に浮かぶ島であり、江波山と江波皿山の二つの山がありました。広島城の築城以降、周辺の埋め立てが進行し、明治時代には陸続きとなりました。現在、江波山には江波山公園が、江波皿山には江波皿山公園が整備されています。

また、江波山にはかつて広島測候所がありました。この測候所は1935年に広島市国泰寺村から江波山に移転し、1945年に原爆投下により被爆しました。その際の状況は、柳田邦男の小説『空白の天気図』でも取り上げられています。測候所はその後も52年間観測を続けましたが、1987年に広島合同庁舎(中区上八丁堀)に移転しました。そして1992年に広島市江波山気象館がオープンしました。

桜の名所

江波山公園は桜の名所としても知られています。1994年(平成6年)4月には、園内で花弁の数が5枚から13枚と多く、水平に花を開かせる特徴を持つヤマザクラの突然変異種が発見され、「ヒロシマエバヤマザクラ」と名付けられました。この桜は1996年に広島市指定天然記念物に指定されました。

なお、映画『この世界の片隅に』の主人公すずの実家は、広島市江波にあるという設定です。

イベント

江波山公園では、毎年2月の第2土曜日に「南の風EBAあそび」が開催され、多くの人々で賑わいます。

施設紹介

広島市江波山気象館

広島市江波山気象館(ひろしましえばやまきしょうかん)は、江波山公園内にある気象科学館(登録博物館)です。日本でも数少ない気象をテーマにした博物館で、広島市が所有し、公益財団法人広島市文化財団が指定管理者となっています。市の施設でありながら、広島市域の天気予報も発表しています。

1934年(昭和9年)に竣工した広島地方気象台の本庁舎が、1987年(昭和62年)に広島市中区上八丁堀の合同庁舎へ移転したのを機に、気象庁から広島市へ移管され、博物館として開館しました。建物自体は1945年(昭和20年)の原子爆弾投下にも耐えた現存する被爆建物であり、広島市重要文化財に指定されています。

展示内容

広島市江波山気象館では、常設展示の他に、夏と冬の2回の企画展示が行われています。

建物の特徴

本館は、1934年(昭和9年)に竣工しました。建築様式は20世紀初頭に花開いたドイツ表現主義の影響を受けたモダンな造形であり、建築技術史的にもデザイン的にも優れています。また、原爆の爆風で曲がった窓枠や、ガラスの破片が突き刺さった壁に被爆の痕跡を残しています。

旧広島地方気象台として、2000年(平成12年)7月25日に広島市重要有形文化財に指定されました。

歴史

地方気象台時代

1934年(昭和9年)、広島市江波町の江波山に広島測候所の新庁舎が竣工しました。翌年、広島測候所は国泰寺村(現在の広島市中区国泰寺町)から江波山に移転し、測候を開始しました。しかし、1945年(昭和20年)には広島市への原爆投下および枕崎台風により大きな被害を受けました。その後、1987年(昭和62年)に広島地方気象台が広島市中区上八丁堀の広島合同庁舎へ移転しました。

気象館時代

1990年(平成2年)、旧気象台建物が広島市へ移管され、1992年(平成4年)に日本初の気象をテーマにした博物館として広島市江波山気象館が開館しました。1998年(平成10年)には本館に隣接した新館が竣工し、2000年(平成12年)には旧広島地方気象台建物が広島市指定重要有形文化財に指定されました。2003年(平成15年)からは広島市域の天気予報を開始しています。

被爆の記録

1945年8月6日の被爆から同年9月17日の枕崎台風被災に至る間、広島測候所は困難な状況下で観測を続けました。この時の状況は柳田邦男のノンフィクション『空白の天気図(英語版)』に詳しく記載されています。建物は爆心地から3,630mに位置し、建物や人には被害を受けましたが、計器類の損傷は少なかったとされています。これは気象器械が強い風雨に対する耐性を持っていたためと、ごく短時間で爆風が通過したためと考えられています。

アクセス

Information

名称
江波山公園
(えばやま こうえん)

宮島・広島市

広島県