広島の安芸西条は兵庫「灘」、京都「伏見」と並び、日本の三大銘醸地と呼ばれている。そもそも広島県内のほとんどの井戸が軟水であったため、かつての広島の酒は甘口で日持ちもよくない悪い酒になりやすかったという。しかし、安芸津の醸造家、三浦仙三郎氏が明治20年代に、麹をしっかりと育て、醪を低温でゆっくり発酵させる醸造法、「軟水醸造法」を開発したことで、軟水の特質を生かしたやわらかで芳醇な酒造りに成功。以降、口当たりがやわらかく、濃醇で旨味に富んだ独特のまろやかな酒は、灘の「男酒」に対して、広島の「女酒」と呼ばれるようになった。
JR西条駅の周辺では、現在も7社の蔵元が醸造を続けています。経済産業省の「近代化産業遺産群続33」にも認定されている酒蔵通りでは、林立する赤レンガの煙突・赤瓦の屋根と「なまこ壁」・白壁とが織りなす独特の景観を楽しむことができます。
酒の仕込みの時期には、やわらかい酒の香りが通りを包みこみ、通りにより一層の風情を与えます。
また、酒の試飲・販売を行っている蔵元もあり、酒の仕込み水の試飲もできます。その他にも酒蔵を改装したカフェや料理店、酒やその仕込み水を使ったをスイーツや料理を出す店もあり、酒を楽しみつくすことができる街です。