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龍蔵院

(りゅうぞういん)

龍蔵院は、広島県広島市東区牛田東三丁目に位置する高野山真言宗の寺院です。広島新四国八十八ヶ所霊場の26番札所としても知られ、地元では「牛田山龍蔵院」として親しまれています。

龍蔵院は、日本初のチベット仏教僧院である「龍蔵院デプン・ゴマン学堂日本別院」の所在地でもあり、その歴史的意義は非常に大きいものがあります。以下では、龍蔵院の概要とチベット仏教との関わりについて詳しくご紹介します。

概要

龍蔵院の本尊は歓喜天(ガネーシャ)であり、寺の起源は天正17年(1589年)2月26日、毛利輝元が牛田山を通った際に、湧泉の中から歓喜天が現れたという逸話に由来しています。それ以来、毛利家では歓喜天(聖天)を代々の持仏として信仰してきました。龍蔵院は幾度かの移転を経て、昭和初期に現在の場所に落ち着きました。

毎月1日と16日が本尊の縁日となっており、この日には高野山真言宗の伝統に則った供養が行われ、地域の人々や参拝者にとって大切な行事となっています。

チベット仏教との関係

龍蔵院は、チベット仏教との深い関わりを持っています。2001年に、チベット仏教の交流活動を担っていた「文殊師利大乗仏教会」がその拠点を広島県に移して以来、龍蔵院は来日するチベット僧の滞在と活動の拠点を提供するようになりました。この縁から、2004年7月には、チベット仏教ゲルク派の「デプン大僧院」付属「ゴマン学堂」の日本別院として「龍蔵院デプン・ゴマン学堂日本別院」が創設されました。

これにより、龍蔵院には「ゴマン学堂」から選ばれたチベット僧が常駐し、日々チベット仏教の勤行や交流活動に勤しんでいます。また、2019年8月には、広島市内にある真光院(広島新四国八十八ヶ所霊場10番)へと僧院機能が移されましたが、龍蔵院とのつながりは今なお強く保たれています。

文殊師利大乗仏教会について

文殊師利大乗仏教会(もんじゅしりだいじょうぶっきょうかい)は、広島県中区に本拠地を持つ一般社団法人で、チベットに関する文化交流事業や研究事業、情報発信事業を行っています。この団体は1998年10月に東洋文庫の研究員であった元ゴマン学堂長のケンスル・リンポチェを中心に、チベット仏教・大乗仏教への理解を深めるために発足しました。

2001年には拠点を広島県に移し、2004年7月には龍蔵院内に正式なチベット僧院である「龍蔵院デプン・ゴマン学堂日本別院」を設立しました。その後も、ゴマン学堂から数名の僧侶を招請しながら活動を継続し、2006年と2010年にはダライ・ラマ14世による説法会を開催しています。

2011年には一般社団法人化し、2019年には真光院へと僧院機能を移した後も、文殊師利大乗仏教会は活動を続けています。2021年9月には、本部事務局を龍蔵院から広島県広島市中区に移転し、新たな展開を見せています。

組織名の由来

文殊師利大乗仏教会の名称に含まれる「文殊師利(マンジュシュリー、文殊菩薩)」は、大乗仏教・中観思想を象徴する菩薩で、『般若経』において空性を説いたり、『維摩経』で智慧の化身として現れたりすることから、非常に重要な存在です。この名前は、「チベットと日本という同じ大乗仏教を共有する仲間」を表現するために組織名に採用されました。また、この文殊菩薩は、ゲルク派の宗祖であるツォンカパの修行時代に多くの啓示をもたらした菩薩としても広く知られています。

Information

名称
龍蔵院
(りゅうぞういん)

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