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三瀧寺

(みたきでら)

三瀧寺は、広島県広島市西区に位置する三滝山(宗箇山)の中腹にある高野山真言宗の寺院です。「三滝寺」とも呼ばれ、中国三十三観音の第十三番札所や広島新四国八十八ヶ所霊場の第十五番札所として、信仰を集めています。また、春の桜や秋の紅葉の名所としても知られ、多くの参拝者や観光客が訪れます。

歴史と由来

三瀧寺の起源は、寺伝によれば809年(大同4年)に遡り、弘法大師(空海)によって創建されたとされています。このため、古くから「三滝観音」として親しまれ、地域の人々にとって重要な霊場となっています。三滝寺は、三滝山の谷底に位置しており、地形的に幸運にも1945年の広島市への原子爆弾投下時(爆心地から約3.18km)においてもほとんど無傷で残りました。そのため、当時は臨時救護所として利用され、多くの人々が救済された歴史があります。

三つの滝と庭園

三瀧寺の境内には、「駒ヶ滝」「梵音の滝」「幽明の滝」という異なる水流を持つ三つの滝があります。これらの滝は、深山幽谷の趣を感じさせる風景を作り出し、訪れる人々に静寂と癒しを提供します。また、これらの滝の水は、毎年8月6日に行われる平和記念式典での献水にも使用され、広島の平和を祈る象徴となっています。

文化財と重要な建物

境内には、広島県の重要文化財に指定されている朱塗りの多宝塔があります。この多宝塔は、1951年(昭和26年)に和歌山県広川町の広八幡神社から移築され、原爆犠牲者の供養のために建てられました。塔内には、国の重要文化財に指定されている平安時代の木造阿弥陀如来坐像が安置されています。この坐像は、元々大阪府河内長野市の観音寺に伝来していたもので、その歴史的価値が高く評価されています。

さらに、三瀧寺の境内には、想親観音堂、鐘楼、稲荷社、三鬼権現堂、鎮守堂など、江戸末期から明治初期にかけて竣工された木造建築が点在しています。これらの建物の多くは、広島市の被爆建物リストに登録されており、歴史的な価値が保たれています。特に三鬼権現堂には、三鬼大権現が祀られており、地域の人々から篤く信仰されています。

補陀落の庭と自然の美しさ

三瀧寺の庭園「補陀落の庭」は、昭和30年代に重森三玲によって整備されたもので、美しい自然と調和した庭園デザインが特徴です。三瀧寺の名の由来ともなった三つの滝が瀬音を響かせ、訪れる人々に深い癒しを提供しています。特に秋の紅葉の季節には、朱塗りの多宝塔と紅葉のコントラストが非常に美しく、広島の名所のひとつとして知られています。

アクセス情報

三瀧寺へのアクセスは、JR可部線の三滝駅から徒歩約20分、または山陽自動車道の広島ICから車で約25分の距離にあります。さらに、広島バス22号線の「三滝観音」行きバスに乗車し、終点で下車することで、簡単に訪れることができます。

三瀧寺は、広島デルタの北西に位置し、広島市の近代的な都市景観と対照的に、静かで趣深い雰囲気を持つ場所です。その歴史的背景や自然の美しさから、市民の憩いの場所として親しまれており、多くの参拝者や観光客が訪れる魅力的な寺院です。

Information

名称
三瀧寺
(みたきでら)

宮島・広島市

広島県