速谷神社は、広島県廿日市市上平良に位置する神社です。安芸国の二宮であり、古くから地域の守護神として崇拝されてきました。式内社であり、名神大社に列せられる格式高い神社で、現在は神社本庁の別表神社に指定されています。
速谷神社は、安芸国総鎮守として1800年以上の歴史を持ち、かつては厳島神社よりも高い地位を誇っていました。全国的には「交通安全祈願」の神社として有名であり、特に自動車を購入した際には速谷神社での祈願が広く行われています。「車を買ったら速谷さん」と言われ、広島電鉄のバスや電車も御祓いを受けることから、多くの参拝者が訪れます。
厳島神社、多家神社とともに「安芸国の三大神社」の一つに数えられ、古くから山陽道を行き来する旅人たちが長旅の無事を祈ってきました。現在も交通安全の守護神として篤く崇敬されています。
速谷神社の主祭神は飽速玉男命(あきはやたまおのみこと)です。『国造本紀』によると、天孫降臨に伴って従った32柱の神のうち、天湯津彦命の五世の孫とされています。古くからこの地に鎮座する神として崇められており、安芸国造として記録されています。
速谷神社の創建年代は不明ですが、1800年以上の歴史を持つ古社です。嵯峨天皇の時代、弘仁2年(811年)に名神に列せられ、清和天皇の時代には神階が昇進し、従四位上となりました。醍醐天皇の延喜5年(905年)には『延喜式神名帳』に「安芸国佐伯郡 速谷神社 名神大 月次 新嘗」として記載され、名神大社として国家鎮護の神社とされました。
また、朱雀天皇の承平5年(935年)には藤原純友の乱の平定を祈願され、乱が鎮まったことから正四位下に昇進しています。室町時代には安芸国桜尾城主や戦国大名、さらには広島藩主の浅野氏が速谷神社を篤く崇敬し、神宝や社領の寄進、社殿の造営・修復が行われました。
速谷神社の境内には、以下のような施設があります。
ご祭神が奉安されている正殿です。素木造銅板葺流造三間社という建築様式です。
神に感謝し、さまざまな祈祷を行う場所です。多くの参拝者がここで願い事を祈ります。
健康長寿や病気平癒を祈願する「岩木翁神」を祀る神社です。
五穀豊穣や商売繁盛の神「宇加之御魂神」を祀っています。
ご祈祷の受付やお守りを授与する場所です。ここでお札やお守りを受け取ることができます。
重要文化財である狛犬や尊海文書など、神社のご神宝を展示しています。
車をお祓いするための場所で、「祓戸大神」が祀られています。特に交通安全を祈願するために設けられています。
ご祭神の神恩に感謝し、神楽舞が奉納される場所です。
参拝の前に立ち寄り、手や口を清める場所です。
楼門は、神社の入り口として神域と俗界を分ける重要な場所です。4本の大柱は1本の檜の巨木を使っています。
鳥居は神域への入り口であり、俗界と神域を分ける重要な境界です。参拝者はここで身を正してから神域に入ります。
祭神は岩木翁神です。本社鎮座前からこの地を守ってきた神と伝えられ、『安芸国神名帳』に記載されている「石城明神」に比定される説もあります。
祭神は宇加之御魂神です。五穀豊穣と商売繁盛のご利益で知られています。
広島電鉄宮島線の廿日市市役所前駅から徒歩約30分です。
廿日市市循環バス「さくらバス」で「速谷神社」バス停下車、徒歩1分です。
山陽自動車道の宮島SAスマートICから2分、廿日市ICから国道433号線を5分です。