広島平和記念資料館は、広島県広島市中区にある博物館であり、通称「原爆資料館」または「平和資料館」とも呼ばれています。この施設は、広島原爆の悲劇を後世に伝えるために設立されたもので、多くの観光客や市民が訪れています。
広島平和記念資料館は、広島平和記念公園内に位置し、当初は「広島平和会館原爆記念陳列館」として開館しました。現在、運営は公益財団法人広島平和文化センターが担当しています。
入館料は、大人200円、高校生100円、中学生以下は無料です。団体料金は大人30人以上の場合1人当たり160円、高校生以下20人以上の場合は無料となります。
資料館は、西側の重要文化財である「本館」と東側の「東館」で構成されており、観覧者は通常、東館から入館し、本館を見学後、再び東館に戻り退出します。
東館には、原爆投下までの広島市の歴史や、原爆投下に至る歴史的背景に関する展示があります。本館では、広島原爆の人的・物的被害を中心に展示されています。特に、被爆者の遺品や「三位一体の遺品」、そして「黒焦げの弁当箱」などの展示がよく知られています。
1945年8月6日、広島市は世界で初めて原子爆弾の被害を受け、多くの命と財産が失われました。この悲劇を忘れないために、市民と学術機関が協力し、被爆資料の収集が進められました。その結果、1949年には広島市中央公民館に「原爆参考資料陳列室」が設置されました。
1955年、丹下健三の設計による「広島平和会館原爆記念陳列館」が開館し、中央公民館に展示されていた資料が移されました。1973年から1975年にかけて、資料館は一度目の大規模改修が行われ、展示内容が充実されました。その後も、定期的に改修が行われ、最新の展示内容に更新されています。
平和記念資料館の展示は、時代とともに更新されており、特に2010年に策定された「平和記念資料館展示整備等基本計画」に基づき、2017年に東館、2019年には本館がリニューアルオープンしました。
平和記念資料館は、毎年100万人以上の訪問者を迎えています。2005年5月末までの累計来館者数は5301万人を超え、特に外国人観光客から高い評価を受けています。
2016年にはオバマ米大統領が訪問し、来館者数が過去最多となる159万人を記録しました。外国人訪問者の多くが高評価を与えており、トリップアドバイザーの調査では、広島平和記念資料館が日本の観光スポットの中で常に上位にランクインしています。
広島平和記念資料館には、世界各国の著名人や政治家、平和活動家が訪れ、平和へのメッセージを残しています。エルネスト・ゲバラ、ヨハネ・パウロ2世、ジミー・カーター、ダライ・ラマ14世など、多くの著名人が記帳しています。また、オバマ大統領は、平和の象徴として折鶴を献納しました。
資料館は、過去に何度か改修工事が行われており、2013年から2018年にかけて大規模な改修が実施されました。この改修では、展示内容の見直しが行われ、来館者が原爆の惨禍をより深く理解できるよう工夫されています。
特に注目されたのは、「被爆再現人形」の撤去問題です。この人形は、被爆直後の状況を再現したもので、多くの人々に原爆の恐ろしさを伝えてきました。しかし、2016年には改修に伴い撤去され、代わりに実物の遺品や写真が展示されるようになりました。
2012年11月には、広島市中区江波二本松に付属展示施設である「シュモーハウス」が開館しました。シュモーハウスは、フロイド・シュモーが建設した「広島の家」の一つで、被爆後の広島を支援した歴史を紹介する施設として整備されました。
広島平和記念資料館は、広島原爆の惨禍を世界に伝える重要な施設であり、その展示内容は時代とともに進化しています。平和の大切さを次世代に伝えるこの場所は、国内外の多くの人々に深い感銘を与え続けています。