三永水源地堰堤は、広島県東広島市に位置する重力式コンクリート造の堰堤です。この堰堤は、国の登録有形文化財に登録され、さらに近代水道百選にも選定されている貴重な施設です。
三永水源地堰堤は、黒瀬川の支流である三永川に建設されています。この三永川は、西条町下三永を流れ、東広島市の一部を通りますが、施設そのものは呉市上下水道局によって管理されています。
黒瀬川からも水を取水できるようになっており、吾妻子の滝の少し上から314メートルの導水路が敷設されているため、広範囲にわたって水の供給が可能です。
現在では、この水源地から八本松町の吉川工業団地へ水が供給されており、地域の水需要を支えています。
三永水源地堰堤は、急増する水需要を満たすために、呉市に隣接する西条町の下三永川に建設されました。堰堤の特徴は、中央部が緩やかに湾曲した構造で、堤長145メートル、堤高14メートルと非常に大きな規模を誇ります。また、貯水量は264万トンにも及び、この水量が地域の水供給を支える重要な役割を果たしています。
この堰堤は1943年(昭和18年)に竣工され、1985年には近代水道百選に選定されました。その後、1999年には国の登録有形文化財にも指定され、歴史的にも重要な施設として認識されています。
三永水源地堰堤の周辺は、自然豊かな環境に恵まれており、公園として整備されています。この地域は、特に桜や藤棚が有名で、例年3月下旬から5月中旬にかけて、多くの観光客が訪れます。藤棚は西日本一と言われるほどの規模で、約100本の藤の木が長さ300メートル以上にわたって植えられ、見事な景観を楽しむことができます。
また、堰堤自体も観光名所として知られ、そのアーチ状の重力式コンクリート構造や、装飾的な堰堤の高欄(こうらん)が観光客を魅了します。
三永水源地堰堤へのアクセスは、JRバス中国「水源地前」バス停から徒歩約10分です。比較的アクセスが良く、観光シーズンには多くの人々が訪れます。
三永水源地堰堤は、呉市への水供給を目的として1938年に建設が開始されました。そして、1943年に竣工し、それ以来地域の重要な水源として機能してきました。
黒瀬川は、広島県東広島市および呉市を流れる二級河川で、黒瀬川水系の本流です。黒瀬川は、虚空蔵山(標高666メートル)に源を発し、東広島市内を南へ流れ、最終的に呉市の斎灘(瀬戸内海)へと注ぎます。
三永水源地は、歴史的な価値だけでなく、美しい自然環境でも多くの人々を魅了しています。特に、桜や藤の花が咲き誇る季節には、地元住民や観光客で賑わいます。また、周辺の公園施設は整備されており、散策やピクニックにも最適な場所です。
このように、三永水源地堰堤は、地域の水供給を支えるインフラでありながら、歴史的・文化的価値を持ち、自然と調和した観光名所として多くの人々に親しまれています。