宮島(厳島)は、広島県廿日市市に位置する瀬戸内海の島です。古くから「安芸の宮島」として日本三景に数えられる美しい景勝地として知られ、世界中から観光客を魅了しています。この島は、自然崇拝の対象として神聖視され、特に厳島神社がその中心となっています。
厳島神社は、海上に浮かぶ朱塗りの大鳥居で有名です。平安時代末期、平清盛によって大きく発展し、海と山が織り成す美しい景観を背景に、その独特の建築美が魅力です。この神社は、1996年に世界遺産に登録され、日本文化の象徴的存在となっています。
厳島は、その豊かな自然も魅力の一つです。弥山(みせん)の標高は535メートルで、その頂上から望む多島美は圧巻です。原始林も保存されており、自然の豊かさと静けさを感じることができます。弥山の原始林は、国の特別天然記念物に指定されている貴重な自然遺産です。
厳島には、ニホンジカやニホンザルが生息しており、特にシカは島の象徴的存在です。神聖な動物として大切にされ、観光客にも親しまれています。また、ミヤジマトンボなど厳島固有の生物も多く、生物多様性の宝庫となっています。
厳島では古くから、島全体が神域として扱われ、穢れを避ける風習が根強く残っています。島内では墓地がなく、出産や葬儀は対岸で行われるなど、独特の習俗が受け継がれています。これらの風習は、今もなお島の生活に根付いており、訪れる人々に神聖な雰囲気を感じさせます。
厳島の名物「しゃもじ」は、僧・誓真大徳が発案したとされています。願掛けの道具として広まり、現在では厳島を代表する土産品となっています。誓真大徳は水不足に苦しむ住民のために井戸を掘るなど、島に多大な貢献をした人物です。
毎年、厳島には国内外から多くの観光客が訪れ、その数は年間300万人を超えます。観光の中心地は厳島神社ですが、弥山への登山も人気です。島内には宮島水族館や宮島歴史民俗資料館などの観光施設があり、文化と自然を楽しむことができます。
島へのアクセスは、広島市街地からJR宮島口駅または広電宮島口駅で下車し、フェリーで向かうのが一般的です。フェリーは10分ほどで宮島に到着します。また、島内では人力車やロープウェイなどが運行しており、観光に便利です。
観光地としての発展に伴い、環境保護の必要性が高まっている宮島では、2023年10月から「宮島訪問税」が導入されました。この税金は島内の保護や整備に役立てられ、観光客にも持続可能な観光の実現を促しています。
厳島(宮島)は、日本の歴史、文化、自然を体感できる特別な場所です。訪れるたびに新たな発見があり、その神秘的な魅力に引き込まれることでしょう。