広島県 » 宮島・広島市

並滝寺

(なみたきじ)

並滝寺は、広島県東広島市に位置する真言宗御室派の寺院です。その表記には「並瀧寺」と書かれることもあります。この寺院は、日本の歴史に深く関わりを持つ古刹であり、地域の文化財としても重要な存在です。

沿革と歴史

並滝寺の創建は、733年(天平5年)に遡り、行基によって建立されたと伝えられています。福島正則の時代には一時的に衰退しましたが、浅野氏の時代には復興を果たしました。宝暦7年(1757年)の秋、大風によって建物が倒壊し、それを機に境内の建物が次々と再建され、現在の姿となりました。

古刹の特徴

並滝寺は、辛盆集御室派に属する古刹であり、天平五年(733年)に聖武天皇の勅願により、行基菩薩が開基したとされています。当時は七堂伽藍や四十八坊の末寺を持ち、全国的に知られる学問の府でもありました。多くの学僧が修行する場として栄えていましたが、その後の兵火や風火災によって規模が縮小されました。しかし、明和8年(1771年)に本堂が再建され、境内の他の堂宇も順次再建され、現在の寺観が整っています。

自然と風景

並滝寺の周辺には豊かな自然が広がり、シキミツバキ、アラカシ、シラカシ、スダジイ等の良好な樹林が成長しており、四季折々の美しい風景が楽しめます。春には梅や桜が咲き誇り、初夏には紫陽花、そして秋には紅葉が参拝者を迎え入れます。この自然に囲まれた環境は、参拝者に静かな安らぎを与えてくれる場所として知られています。また、並滝寺は黒瀬川の源流としても知られており、聖水を求めて多くの参拝者が訪れます。

並滝寺池と虚空山

並滝寺の近くには並滝寺池があります。この池は非常に大きな人造湖で、都会の喧騒を忘れさせてくれる静寂な自然が広がっています。ここから眺める虚空山の景色は、まさに絶景で、訪れる人々に深い感動を与えます。

伽藍の紹介

本堂

本堂は、明和8年(1771年)に再建されました。建築様式は主に唐様を基調としており、屋根は茅葺きです。

金毘羅社

金毘羅社は寛政10年(1798年)に建立され、一間社流造の茅葺きで建てられています。

楼門

楼門は18世紀中後期に建てられたもので、下層は白漆喰で塗られており、屋根は茅葺きの寄棟造となっています。龍宮造の建築が特徴です。

鐘楼

鐘楼は文化元年(1804年)に建てられました。竜宮造の建築で、屋根は桟瓦葺の入母屋造です。

仁王門

仁王門は18世紀中期から19世紀初にかけて建立され、仁王像が安置されています。

庫裏

庫裏は寛政9年(1797年)に建立されました。この庫裏は非常に大規模で、仏間や数寄屋造の書院が備えられています。また、床の間は「室床」と呼ばれる独特な造りになっています。

文化財

並滝寺には、東広島市が指定する重要有形文化財が収蔵されています。特に注目すべき文化財は次の通りです。

唐絵涅槃像

この唐絵涅槃像は、並滝寺に伝わる貴重な仏教美術品です。

木造延命地蔵菩薩半跏像

木造の延命地蔵菩薩半跏像も、重要な文化財として保護されています。

年中行事

並滝寺では、年間を通じてさまざまな行事が行われています。以下はその代表的なものです。

新春初祈祷祭(正月三が日)

新春初祈祷祭では、三日間にわたる大護摩修法が行われ、厄除けや家内安全、心願成就を祈念し、参拝者にお札を授けます。

節分星祭(二月三日)

節分星祭では、九■星に基づいて、それぞれの当たり星に対して護摩修法を行い、厄除けの祈願をします。

春季大祭(四月二十四日)

春季大祭では、聖水に感謝し、五穀豊穣と家内安全を祈願します。また、福引やお箸供養が行われ、参拝者に多くの福が授けられます。

観音大祭・施餓鬼修法(八月十八日)

観音大祭は一年で最も観音さまの功徳がいただける日とされており、護摩修法の後に施餓鬼が行われ、先祖供養が行われます。

万灯会(大晦日)

万灯会では、参道から本堂まで護摩を修し、心願成就の祈願が行われます。多くの参拝者が参加し、年末の厳かな雰囲気を味わいます。

Information

名称
並滝寺
(なみたきじ)

宮島・広島市

広島県